新日本プロレス 1995年10月9日(月)東京ドーム大会 試合結果

試合開始18時30分 観衆6万7,000人=超満員札止め ※テレビ収録

▼アントニオ猪木挨拶

「プロレスの人気を高めるためには、皆さんの熱い期待に応えて、そのカードを実現させること。勇気をもって、そのカードに挑み、新日本プロレスという枠を飛び越え、自分も体が朽ちるまで一生懸命に闘っていきます!」

▼30分1本勝負

①永田裕志 ○石沢常光(10分47秒 三角絞め)金原弘光 ×桜庭和志

石沢常光「蹴りの防御を2週間くらい練習したので、もっとできると思ったけど、なかなか実践になるとうまく防御できないですね。何発かいいのが入りました。UWFインターとの最初の試合で勝ててホッとしましたね。嬉しい結果。良かったですよ。」

永田裕志「俺たちはプロレスラーでしょ?ねえ?俺たちはプロレスラーなんですよ。金原は何ですか、あれは。あれじゃキックボクサーですよ。俺たちはプロレスラーなのに、シューズも履かないで素足でキックボクサーのコスチュームで出てきた。何ということですか。俺たちと彼らのプロレスの考えは違えど、レスリングを追求している仲間でしょ?それが最初から最後までキックと掌底。だったらK-1でもどこでも行けばいいんですよ。俺たちはプロレスラーなのに、何あれ?違いますか。もっと純粋にレスリングを競い合いたかったね。正直な気持ちは。でも、ああいうキックは俺たちには通用しない。あいつがレスリングを使ってきた時のキックはわからないけど、あれ一本で立ち向かってこようといったって俺たちはプロレスラーなんだから。頑丈に鍛えているんだから。鍛えた体になんぼ蹴りをぶつけたって通用しないですよ。ただ、ハートね。こんちくしょうという気持ちが伝わってきたから。桜庭にしろ、金原選手にしろ。こんちくしょうという気持ちは伝わってきたから。今度はレスリングで勝負しろと言っておいてください。こっちも受けて立ちますよ。ハートはいいもんをもっているんだから。」

金原弘光「(新日本プロレスは)まず、打撃が全然できないってことと、打撃を怖がって、倒して上に乗るんですけど、押さえ込むだけで関節の持っていきかたを知らない。だから、上に乗られても怖くないし、関節もいかせないと。次やったら、ま、KO勝ちですよ。僕がノックアウトします。2人の顔どうなってましたか?やってて、顔真っ赤だったんですけどね、手ごたえも、足ごたえもあったし。あさって向こう出れるんですかね。力は強かったですね。それだけは認めます。いい力しています。やっぱり。永田選手は打撃が上手いと聞いてたんで、もっと蹴ってきてほしかったけど、何一つやってこなかったんで。僕とかグラウンドで蹴り脚つかまれて上押さえられて、印象的にはまあ客観的に見たら悪いかもしんないですけど、プロから見たら下になってるポジションは全然やばくないポジションですし、何ともないポジションなんで、逆に打撃で向こうがもらって、上で休んでる感じじゃないですか。まあ力は強かったですよ。うち入ってたら、いいレスラーなってたんじゃないですか。(コスチュームは)新日ルールということでレガースつけないでいいんで、もともと僕、タイ式なんでこれもタイで試合やった時作ったんですけど、久しぶりに、こう、タイで3回試合してるんですけど、久しぶりに、またタイで試合やってるような最初だけでも味わえて、ちょっと嬉しかったです。大阪はUインタールールなら、レガースつけなきゃいけないんで、いつのもように。」

桜庭和志「スパーリングとかやってて、たまに入る時があるじゃないですか。そういう感じ。100%負けたって感じじゃないですね。タッグの連係がうまかった。あっちはすぐタッチして、そんなスタミナ切れてなかったと思う。こっちは長い間やってスタミナ切れて、それでタッチっていう感じだったんで。」

▼15分1本勝負

②○大谷晋二郎(7分18秒 チキンウイングアームロック)×山本健一

(試合後マイクで)山本健一「こんなんでデカい顔するな!もう一回や!」

大谷晋二郎「次は山本選手だけじゃなく、Uインターの他の選手ともスッキリとした形で技術を競い合いたいです。因縁なのでギスギスした試合はお客さんの前でするもんじゃない。でも、どうでしょう、山本選手に最後のマイクアピールはいると思いますか!僕は山本選手もガンガンきてくれて、それに敬意を表して握手をしたんです。ドロドロしたものを一掃した形で、Uインターの選手とはやりたい。勝ち負け以上に、僕はそういう気持ちが強いことをみなさんわかってください。今日の試合で、僕のメッセージを山本選手はどう受け止めてくれたか。僕はそのことに興味があります。負けてもいいじゃないですか。また練習して、技術に磨きをかけていけば。お互いが切磋琢磨しあって、そしてお互いに強くなっていく。それが僕の本心です。山本選手に対しては、気持ちいいものがありました。山本選手がガンガンくるなら、僕はいくらでもやる。ある部分、僕と共通するとことがある気がします。僕がライガーさんから叩きこまれた、気迫とか完全燃焼とかを山本選手も完全に覚えてくれれば、素晴らしい選手に成長しそうな予感がします。」

山本健一「今日の試合に関して言うなら、僕の完敗で、まだまだ甘い所がいっぱいあると。いい勉強になりました。でも、ジュニアのチャンピオンベルト巻くような人間が、僕ごときを簡単に倒されへんことには、まだまだデカい顔してもらったら困るんで。大谷選手は僕よりプロレス界、ちょっと長い人で、やっぱり試合慣れしてますね。でも、もう一回、もう一回、俺と勝負しろと。それからデカいことぬかせと。まあでも、正直言うたらちょっと見くびってたっていうのがありますよね、はい。とにかくまだまだ納得いかないです。勝ち負け云々にしろ、内容を見たら気に入らないです。(サブミッションで決められたことが)一番悔しいですね。まあ、これからですよ。もう一回やったる。まだ始まったばっかりやーと。俺はUWFで一番下の人間。俺ごときに手こずっとったら、次はこうはいかへんで。次、楽しみですわ。また敵が増えたなと。僕に勝った人間はみんな敵ですから。大谷選手もまた、僕の『いつか倒したるリスト』に記されましたよ(笑)」

▼30分1本勝負

③○高山善廣(7分39秒 腕ひしぎ逆十字固め)×飯塚高史

高山善廣「前の2試合のお客の反応が新日に傾いたんで、そんだったらこいつらびっくりさせて、言葉出ないようにしてやる、と。温かい声援もあったけど、ブーイングはかえって燃えますんで。初め、様子見てたんだけど、1回、掌底からヒザのいいのが入ったんで、そしたらレフェリーがダウン取らないじゃないですか。レフェリーも敵かと思って。ルールについては最初の2試合見てたんで、それがよかった。第1試合だったらちょっと・・・前の試合見てて、うちのルールのように動いてたらバカみるだけだなと思って。バカみて、何も知らないウブな坊やみたいになっちゃうから、そうじゃないよ、俺はって。このルールを採用した向こうがバカみるように。(飯塚高史は)うちの選手とは全然違う。動きを止めて、体重かけて。僕が飯塚選手より軽かったっていうのもあるけど、重さがすごい感じた。サンボっていうから、もっと流れるような動きをするのかと思ったら、そうじゃなかった。強かったですよ。ただ、僕の方が全然強いですけどね。こんな大会場であれだけキャリアのある人、新日道場の先生らしいじゃないですか、それより俺は強いんだ、ということですね。次はもちろん、飯塚さんより強い人ですね。そういう人がいるならば。まあ、チャンピオンより怖い人がいるそうだから、そういう人をやっつけてあげます。」

④○佐野直喜(10分14秒 タイガースープレックスホールド)×獣神サンダーライガー

獣神サンダーライガー「あのトぺにはびっくりしました!心の底から、やっぱり佐野直喜だよ!と思いました。あれでプロレスに未練がないと言ったらうそでしょう。心のどこかでそういう願望がないと飛べないですよ。佐野さんは金本とやってほしいですね。そうすれば今のジュニアのレベルがわかると思うし。Uインターの佐野直喜じゃなくて、世界の佐野直喜ですよ。だから追いかけてきたんだし。ほんとは自分の感情だけに走っちゃいけないんだけど、すいません、今日は自己満足です。蹴りは怖くなかったけど、最後にあの技がくるとは・・・今日は気持ちいい!楽しくなるよ、ジュニアは!」

佐野直喜「トペはしつこいからかましてやれって思って。負けず嫌いなもんですから、その辺が出たのかな。力が強いけど、ちょっと動きが鈍かった。こっちのルールなんでヘタに縛られて負けるより、自由に何でもありで思う存分闘いました。次?でかい選手・・・橋本選手あたりに今まで養ってきた力をぶつけてみたいというのがあります。(ライガーが金本とやればいいと言ってたことについて)それは本人がやればいいことじゃないですか。僕に言う前にね。J-CUP?興味はないですね。ジュニアの枠にとらわれるのは本質的にはイヤだし。」

▼45分1本勝負

⑤○長州力(4分45秒 サソリ固め)×安生洋二

長州力「キレちゃいないよ。まあ、結果的にはもう想像していたのと一緒だな。安生もキラしたかったんじゃないか?勇気ないよな。キラさない限りは本質的には俺には勝てないよ。俺の勝負はそこからだから。まあ、キレていいのか悪いのか。コンディションはいいんだよ、俺は。最高にいいんだよ。俺は明日明後日と試合があるし。」

安生洋二「新日本プロレス、いい団体だね。ただ言えるのは闘いはこれからだ、と。まだうちの大阪、代々木、福岡と闘いは続くんだから。まあ、このままじゃ俺らは終わらないし、終わらせない。まあ、今日は確かにいいのを一発もらった。でもいい団体だ。2日後に試合があるんで、あんまり無理しなかったんですよ。でも、負けは負けですから。負けをね、それをね、バネにね、俺はまだまだいきますから。次回できるものなら無理してやりますよ。でも、気持ちいいね。負けは負けだけど、気持ちいい負けだわ。これで僕も心を改めて、謙虚な男に生まれ変わりますよ。誰も信じていないみたいですけど、これは僕の本心ですよ。次の大阪、謙虚な安生洋二、見てください。謙虚イズベスト。どうもありがとうございました。」

⑥○垣原賢人(9分13秒 ヒザ十字固め)×佐々木健介

垣原賢人「これがUWFだ、ということですね。非常にパワーがある選手だなと思いました。あとやっぱりグラウンドも上手い部分もあったんで、少しちょっと自分も甘く見た部分があったんで。まあ、スタンドは全然、顔面がら空きだったんで。僕はやられても、そのやられた状態から切り返して技をとるというのが今のUWFのスタイルで非常に勉強しているんで、その辺の部分で相手が来たところをうまく返して、決めていくという、そういう感じがポイントだったと思うんですけども、今日は。(フィニッシュは)このパターンというのは僕の非常に得意な十八番だったんで、これはいただいた!とバックを取りにきた時点で思いましたね。計算?ありました。オブライトとやって勝ったのもでかかったですけど。やっててやり甲斐があったんで、またもう一度チャンスがあればやってみたいですね、本当に素晴らしい選手だったんで。僕は正直、ドームで新日本との対抗戦は終わりにしたいと思ったんですけど、今回やってみて手ごたえも感じたんで、まだまだ他の上の選手とやってみたいと思います。次、大阪でカード組まれている長州選手ですか、非常に楽しみです。苦戦した?うーん、そうですね。グラウンドで苦しい場面が1~2度あったのは事実ですけど、それ以外はそんなに見た目よりも苦しくなかったです。ケサ固めでね、息が苦しかったなというか、非常にうまい押さえ方をして、なおかつ体重があったんで、苦しいやと思って関節技じゃないんですけど、押さえ込み一つだけなんですけど、非常にうまいものがあって、あれが非常に苦しい体勢でしたね。(ダイノジになられたところは)新日本特有のパフォーマンスかなという感じだったんで、そんなに本当の意味での余裕だなとは僕はとらえなかったです。」

佐々木健介「みんなに申し訳ないな・・・ポカやりすぎた、ポカやりすぎた・・・浮かれていたかもしれないな。俺な、ちょっとな。でも今日の勝ちぐらいで俺を超えられると思ってんのか、垣原は。あんな勝ち方で。本当に俺を超えてみろ!これで俺も頭の中吹っ切れたよ。ほんとに!今まで馳、馳って言ってきたけどな、この前の山崎戦、そして今日・・・吹っ切れたよ、俺は!垣原に感謝するよ、俺は。こういう形で・・・負けは負けだ!でもこういう形でな、吹っ切れさせてくれたというのは今、最高に嬉しいよ。こういう俺にしたことをみんな後悔すんなよ、いいか!」

⑦○橋本真也(7分20秒 三角絞め)×中野龍雄

橋本真也「例えば、俺が天龍さんに負けた時のように、こいつだけは勝ちたいと思う奴がいたら別だけど、武藤選手も勝ってくれたことだし、俺としてはこれ以上、あえてやる必要はないと思う。若い選手もほんと頑張ってくれたし。大事な星も落としたけど、これはやられた人間が返せばいい。僕は関知したくない。関知したら、その人間は終わっちゃうし。」

中野龍雄「蹴りも予想以上に重かったし、スピードもあった。負けは負け。言い訳はしません。新日本の壁を守る、という凄みを感じました。」

▼IWGPヘビー級選手権試合=60分1本勝負

⑧○武藤敬司<王者>(16分16秒 足4の字固め)×高田延彦<挑戦者>

※第17代王者・武藤敬司が4度目の防衛に成功

武藤敬司「自分のプロレス、自信を持っていったんですけどね。前の健介の試合見てたらね、一気に緊張感が増したっていうか。ちょっとのぼせてたっていうかね。だけど、新日本プロレスで培ったレスリングを信じてたから。ただ、向こうにも主張するレスリングがあって、意外とワクが狭い割には濃度が濃かったっていうか、そこが今日苦戦した。いやあ、ホッとした。もう少し、俺、技を出せるかなと思ったら、やっぱり防御が固くて逃げるの上手かったし。苦戦したですね。キック?ある意味でいったら、ちょっとおびき出しみたいなのもあったんすけどね。蹴りだけでいったらブッチャーなんかのほうが数段強烈ですからね。そこから何かを見出すためにちょっとこう誘いをかけたっていうか・・・だけど、うまく乗らないですけどね、さすがに熟知してるから。もしかしたらアクシデントがあったかもしれないですけどね。急にガクーンって落ちたから。だけど俺、そんなのかまっちゃいられない。足4の字?あれでとってやろうという気構えはあったです。だけど、ホッとしてます。今までにない試合だった。今までタイトルマッチを何回かやったけど、重圧ってのが何かちょっと。今までもうアメリカへ何回も行ってるけど、アメリカで一匹狼で活躍してたから、チームっていうか団体活動みたいなのを苦手としてたからね、ある意味ですごいいい経験をさせていただいたっていうか、新日本プロレスはすごい団体ですよ。チームの一員として誇りをもっています。もっともっとね、海外の未知の強豪っていうのがいっぱいいるから、もうオープンにどんどん突き進みたいですね。どうも、ありがとうございます。」

垣原賢人「高田さんは負けましたけど、これで終わりではありません。僕ら若いのがみんないるんで、これでUインターが終わったわけじゃないんですよ。今日からが本当の始まりですから。これで終わったわけじゃないです。」

高山善廣「次は絶対やりますよ。今日だって高田さん、決して完敗というわけじゃないし、ちょっと足痛めたみたいだったけど、それがなければ完全KO勝ちだったし。他の選手も負けてもルールがややこしいのがちょっとあったし。そういうのをこっちも把握しましたからね、うちのルールでも向こうのルールでもガンガンやってね、何でも倒してやりますよ。長州力だろうが何だろうが。ぶっ潰してやります。」